牛を育てるお仕事のこと
~酪農家の1日~

牛という生き物を飼育する仕事なので、

1年を通して1日も休むことができません。
酪農家が毎日乳搾りをしなければ、
牛は体調を崩してしまいます。


とはいえ、酪農家にも休みは必要。
休日は、酪農ヘルパーに搾乳や
えさやりなどの作業をお願いします。

【ある1日のスケジュール】

ある1日のスケジュール

えさやり

1日に3回程度、決まった時間にえさと水を与えます。青草や牧草、サイレージなどの「粗飼料」とトウモロコシや大麦などの穀類や糟糠類などの「濃厚飼料」をバランスよく配合します。

牛舎の掃除

牛の寝床の清掃や糞・尿の処理、牛の体を拭くなど毎日清潔を保ちます。

搾乳

牛の乳を搾ることです。一般的に朝と夕方の2回行います。牛の乳頭を消毒し、ミルカーと呼ばれる搾乳機を使って冷蔵タンク(バルククーラー)に貯乳します。

牛の健康チェック

良い乳を出してもらうには一頭一頭の健康管理がとても大切です。牛舎内の環境や、成長や妊娠に伴い哺乳や給餌の仕方にも細心の注意を払っています。

生乳流通のしくみ

生乳の流通は、指定生乳生産者団体を
経由するチャネルと、



それ以外のチャネルの
2つに区分することができます。
需給調整が難しい生乳の流通は、指定生乳
生産者団体による



『一元集荷多元販売』
が重要な役割を果たします。
輸送コストの低減、酪農家は取引価格の
公平性や価格交渉力を強化でき、



乳業
メーカーは安定的に生乳を確保できます。

プール乳価…生乳の価格は用途によって取引価格が変わります。指定団体は、乳業メーカーから受け取る用途別乳価の加重平均(平均価格)から平均化された共販経費を控除した同一の乳価(プール乳価)で、公平に酪農家に支払いを行います。

出典:一般社団法人Jミルク「日本のミルクサプライチェーン2022」

生乳から幾つもの実がなる!?

牛から搾られた生乳は、様々な加工技術で牛乳、チーズ、ヨーグルト、
バター、クリームなど多様な用途に姿を変えることができます。
牛乳・乳製品が生まれる過程を、木に実がなる様子で例えたのが『ミルクツリー』です。



こうしてみると、生乳は様々な姿で私たちの食卓を支えているんですね。

ほくれん丸という
専用船で本州へ

根釧地域で生産された生乳の多くは
関東や
関西を中心とした消費地へ輸送されます。
関東への生乳輸送には専用船「ほくれん丸」
が主に使われています。
2隻の船が釧路港~日立港(茨城県)を
ほぼ毎日往復運航しています。

地域の需要ギャップ

消費量が人口の多い都市部に集中する一方、都市部から離れた北海道などに生産が集中することによって生まれるのが、地域のギャップです。このギャップを埋めるために北海道などから生乳・産地パック牛乳が関東や関西を中心とした消費地へ輸送されています。

季節の需要ギャップ

暑さに弱い乳牛は、都府県の場合8~9月頃、北海道の場合10~11月頃に生乳生産量が低下します。逆に生産のピークは、都府県の場合4月頃、北海道の場合5~6月頃です。大型連休や年末年始、学校給食の日数で変動する需要のピークと、生産のピークが異なることで生まれるのが、季節のギャップです。都府県の生乳が不足する夏には、北海道からの生乳輸送量を増やすことで供給体制を構築しています。また、需要が少なくなる冬には、余裕のできた生乳を乳製品に加工しています。